個人事業主③ 個人事業主と会社設立

個人事業主と会社設立の、どちらがよいのかについては、いろいろな考え方があるようです。私もいろいろ検討しましたが、個人事業主として開業準備を進めることとしました。


1. 開業手続について

個人事業主の方が圧倒的に有利です。先日書いた通り、税務署への開業届(及び青色申告承認申請書)の提出のみで手続きが完了します。廃業も廃業届1枚で完了です。

会社設立となれば、定款を作成して公証役場で認証してもらい、会社設立を登記します。費用面では、定款認証が5万円(電子認証なら不要)、登録免許税で最低15万円、その他司法書士への登記の手数料が発生します。清算する場合も、解散決議から清算結了まで最低2か月かかりますし、手続きも面倒です。

2. 税金について

個人事業主よりも会社設立が有利なようです。以下、会社については資本金1000万円以下、課税所得800万円以下を前提に、比較検討してみます。

所得税は、法人が法人税15%、個人事業主は23%(累進課税)。ただし法人の場合は給与を経費として控除できる一方、受け取った給与に対する所得税・住民税などが別途加算されます。課税所得を計算する際に控除できる経費についても、法人と個人事業主では異なりますので、注意が必要です。消費税は、法人と個人事業主で、大きく変わりません。

住民税は、法人では均等割7万円、所得割は7.8%(千葉県八千代市の場合)ですが、個人事業主では均等割5000円、所得割10%です。ただし、法人住民税の課税基準は法人税額であるのに対し、個人住民税の課税基準は課税所得金額であるのは、大きな違いです。

事業税は、法人では3.5%~7%(累進課税)ですが、個人事業主では5%(行政書士の場合)で、290万円の個人事業主控除があります。

以上を比較すると、売上規模が少ない間は個人事業主が有利、売上規模が大きくなると会社設立が有利ということになります。ただし会社の場合、給与を経費計上できるので、法人収入と給与収入を分け、それぞれの税金を合算すると、大体のケースで法人が有利なようです。

3. 社会的信用について

法人の方が社会的信用が高いという考え方もありますが、自分自身がブランドであるという考え方から言えば、むしろ個人事業主の方が信用を得ることができるかもしれません。

4. 中小企業診断士、行政書士として

中小企業診断士は企業の社員の形で業務ができますが、行政書士は会社という形態では業務ができず、行政書士法人とする他ありません。その場合、行政書士法人では行政書士以外の仕事ができません。

私は、自分自身の名前で仕事をすることが大切と考えておりますし、中小企業診断士と行政書士の両方の仕事を行うために、最初は個人事業主として開業し、もし売上規模が大きくなれば、その時法人化するかどうかを考えたいと思います。

尚、繰り返しになりますが、税金計算については私は業務範囲ではありませんので、上記はあくまで私の個人的な検討内容のご紹介です。具体的な税金相談については、税理士の先生にご相談下さい。

投稿者プロフィール

小笠原 裕
小笠原 裕中小企業診断士 行政書士
バラの咲く街、八千代市緑が丘で、コンサルティング事務所を運営しています。