ITプロジェクト⑫ RFP(提案要求書)

要求定義を行い、システムでやりたいことが決まったら、システム開発ベンダに提案書を提示してもらいます。そのためにベンダに提示するのが、RFP(Request for Proposal、提案要求書)です。

システム開発ベンダに、どういうシステムを作ってほしいのかを正しく伝えないと、きちんとした提案書が提示されません。口頭で伝えても、顧客とベンダの認識がずれてしまうことは、よくあります。ベンダは顧客の業務内容を知らないし、顧客もベンダがシステム開発においてどのような情報が必要なのかがわかりません。このようなコミュニケーションロスを防ぐため、文書化することが有効です。

RFPに記載するべき情報は、下記の通りです。

システム開発の目的
業務プロセス
システム構成図
機能要件
非機能要件
スケジュール
予算
制約条件

予算をRFPに記載するかどうかは、いろいろな考え方があると思います。予算を書いてしまうとベンダが高く見積るのではないかと考えて、予算は書かないというのも一つの考え方です。しかしベンダの立場からすると、いったいどれくらいの規模感で見積もったらよいのかを予算で判断したいと考えるでしょう。

私はRFPには予算を書いておいた方がよいと思います。その方が、ベンダの提案書は予算内で収まるように作ってくれるし、予算内では無理なようなら、早めに判断ができるからです。RFPにたくさん要件を書くと、だいたい予算感が合わない大きなシステム提案がされて、あとで要件を削るのが大変になることが少なくありません。

まずはベンダの提案を見てから判断しようということで、判断を先送りにするよりも、注文者側が考えていることを、早めに情報提示する方が、ベンダ・注文者双方にとってメリットがあると思います。

RFPの内容が具体的であるほど、ベンダからの提案書も具体的なものになります。ベンダ比較をする際に、提案書があいまいな状態では、適切なベンダ選定ができません。

RFP作成作業は、企業規模が大きくなるほど、自社で作業するのが難しくなります。RFP作成支援を行うコンサルタントも存在しますから、時間と費用にゆとりがあれば、外部委託を検討するのも一案です。

投稿者プロフィール

小笠原 裕
小笠原 裕中小企業診断士 行政書士
バラの咲く街、八千代市緑が丘で、コンサルティング事務所を運営しています。