ITプロジェクト26 成果物と検収

ベンダ提案書で確認すべきことの一つとして、成果物と検収条件があります。 

成果物とは、業務委託の結果、ベンダから注文者に引き渡される全てのもので、システム開発の場合は、要件定義書、基本設計書、移行計画書、マニュアル、完了報告書、そしてシステム自体、などが該当します。

どのような成果物が引き渡されるのか、そのイメージはどのようなものかを、委託前に確認することは重要です。提案書に記載がない場合は、きちんと記載するようにベンダに再提出を求めるべきです。請負契約は、成果物の引き渡しをもって債務が履行されたということになりますので、この点があいまいだと契約完了時に問題となります。

また、システムが稼働して契約が完了した後も、稼働後にシステムの不具合等があった場合に、注文者の要求通りのものなのか、それ以外の要因なのかで、紛糾することがあります。その際に、契約完了の際に引き渡された成果物の記載内容が判断の基準になりますし、もし損害賠償請求というような事態になった場合には、ことさら重要となります。検収条件を予め確認しておくことも重要です。

検収とは、引き渡されたシステムが要求通りであり問題ない、ということを注文者が確認することです。通常、支払い条件は検収後XX日支払い、などと検収日を基準に決めることが多いです。検収を上げなければ支払日が決まらないわけです。

ではどのような条件であれば検収を上げるのか、ということを決めておかないと、これもトラブルの原因になります。契約書をよく見たら、引き渡し後2週間以内に無条件で検収することになっていたとか、逆に多少の不具合があるという理由でわざと検収を上げない、ということでもめたりすることがあり得ます。

契約完了を想定し、あらかじめ成果物を定義し、それに対する検収条件を取り決めておくことで、これらのトラブルを避けることができます。

投稿者プロフィール

小笠原 裕
小笠原 裕中小企業診断士 行政書士
バラの咲く街、八千代市緑が丘で、コンサルティング事務所を運営しています。