ITプロジェクト43 要件定義の承認

要件定義の成果物は、必ずユーザがレビューし、承認することが必要です。システム開発について、ユーザとしてどのような機能を実現することを期待するのか、明確にするためです。

要件定義書に、具体的な機能が記載されていないことが、よくあります。場合によっては要件定義書そのものが存在しないこともあります。このようなケースでは、ほぼ例外なくユーザ受け入れテストや、稼働後に問題が発生します。

システム開発をベンダに丸投げすると、このようなことがよく発生します。オーナー会社が承認したとしても、実はIT部署だけの承認となっており、実際のユーザが要件を把握していないケースもあります。こうなると、実際にシステムが動き出しても、ユーザにとって実用に耐えないということが、発生しかねません。

この場合、ベンダが不具合として無償対応するかと言えば、そのようなことはありません。要件定義書は作成されており、そこに記載されている通りの機能がありさえすれば、ベンダはやるべきことをやっており、なんら過失はないと主張することができるからです。ユーザー会社としては、我慢して使うか、有償で改修を依頼する他なくなります。

このような問題を回避するために、要件定義の最後の工程として、要件定義書のレビュー、承認行うことが必要となるのです。

投稿者プロフィール

小笠原 裕
小笠原 裕中小企業診断士 行政書士
バラの咲く街、八千代市緑が丘で、コンサルティング事務所を運営しています。