ITプロジェクト75 トランザクションデータ移行
トランザクションデータは、日々発生するデータです。例えば、受注、発注、在庫などの約定データや、売掛金、買掛金、棚卸資産などの会計データなどです。全く新規に始まる業務であれば、システム稼働後に入力すればよいですが、ほとんどの場合は、Excelなどの手元管理データであれ、システムであれ、既存のデータが存在します。このデータを、本番稼働に合わせて新システムに投入するのは、注意を要する作業です。
システム切替の当日は、それまで旧システムに入力されたトランザクションデータを、一気に新システムに投入することになります。システム切替は休日の限られた日程で行うため、データ投入に失敗すると本番稼働に大きな影響が出てしまします。また、無事投入できたと思っても、本番稼働後に問題が発生する可能性があります。
システムは、通常入力時にエラーチェックをかけます。マスタとの整合性や、それまでのトランザクションデータとの整合性をチェックして、問題のないクリーンなデータがデータベースに投入されます。ところがトランザクションデータを移行する場合は、直接データベースに書き込みますので、これらのデータ総合の整合性が担保されません。
これを防ぐため、入力時と同等のエラーチェックを投入時に行うわけですが、完全に同じレベルでエラーチェックができるとは限りません。これらは稼働後に問題化し、いわゆる不具合として扱われてしまうことが多いのです。
トランザクションデータ移行には、大きなリスクが存在しており、そのための対策が必要であることは、認識すべき問題です。