民法改正(5) 保証に関する見直し

保証に関する見直しのポイントの一つは、個人保証をする場合の、包括根保証の禁止の範囲を、貸金等債権から全ての債権に拡大したことです。平成16年に、商工ローンの個人保証で破産する人が多く社会問題化したことをきっかけに、貸金等債権については、限度額を決めなければ無効という民法改正が行われました。元本確定期日は原則3年(最長5年)、さらには主債務者の死亡や、保証人の破産・死亡などで元本確定します。

これを、貸金等債権以外の債権、たとえば賃貸借の個人保証についても、極度額の設定を義務付けたのが今回の民法改正のポイントです。ただし、貸金等債権以外の場合は元本確定期日の制限はなく、また主債務者の死亡は元本確定事由になりません。元本確定期日に制限を設けないのは、例えば賃貸借契約で元本確定期日が5年となると、それ以降は無保証となってしまうという弊害があるからです。

もう一つのポイントは、事業用融資の第三者個人保証をする際には、公証人による保証人本人への保証意思の確認が義務化したことです。あくまで第三者個人保証であり、会社の取締役など経営者保証は対象外です。経営者自身が個人保証する場合は仕方ないとして、経営に関係ない第三者が安易に個人保証して破産することを防ぐ意味があります。

さらにもう一つのポイントは、個人に対して事業上の債務の保証を委託する場合に、主債務者は自身の債務の状況について、保証人に対する情報提供を義務付けたことです。情報提供義務違反の場合、 保証人は一定の条件のもと、保証契約を取り消すことができます。

個人保証は我が国の取引の安全のためには重要な仕組みですが、それが個人破産などの理由になっていることを考えると、個人を保護する仕組みは大切です。今回の改正はそれを反映したものと言えると思います。

投稿者プロフィール

小笠原 裕
小笠原 裕中小企業診断士 行政書士
バラの咲く街、八千代市緑が丘で、コンサルティング事務所を運営しています。