民法改正(12) 契約解除の要件に関する見直し
現行民法では、債務不履行に際して、債務者に帰責事由がなければ契約解除することができません。前回書いた、損害賠償と同様の考え方です。しかし、新民法では、債務者に帰責事由があっても、債務不履行があれば契約解除することができます。ただし、債務不履行の程度が軽微であったり、債務者に帰責事由があれば、契約解除はできません。
解除は、債務を履行しない債務者に対するペナルティの意味がありました。しかし、解除しなければ、債権者は新しい契約を結ぶことができず、かえって不利益になります。つまり解除は、もはや履行できなくなった契約から、当事者を解放する手段として位置づけられました。損害賠償とは、別の位置づけとしているのです。
解除の方法にしても、催告して解除するケースと、無催告で解除できるケースを明文化しました。判例は、付随的な債務の不履行や、不履行の程度が必ずしも重要でない場合については、催告をしても解除できないとしています。また、無催告で解除できる場合として、、履行拒絶の意思の明示や、履行不能などの場合を、明文化しました。
実際の運用に合わせた条文変更とはなっていますが、従来の民法とは考え方が異なる面がありますので、注意が必要と思います。