民法改正(13) 売主の瑕疵担保責任に関する見直し

瑕疵担保責任は、現行民法下ではよく使われる単語です。隠れた瑕疵がある場合、買主が善意無過失であれば、売主は過失がなくても解除または損害賠償に応じる責任があります。売主に無過失責任を負わせるのは、売買の対象物について、あまり情報を持たない買主を保護するための、特別の法定責任とされていました。

しかし、実際の運用では、売買の対象物が契約で決められた内容通りであるか、という点が重視されており、それであれば一般的な債務不履行の問題とした方が、合理的です。

そこで、瑕疵担保責任は、契約不適合責任という言葉に置き換えられ、納品した売買の対象物が契約で決められた品質・数量に適合しない場合に、買主が救済されることとなりました。

また、買主の救済方法として、これまでは解除と損害賠償のみでしたが、それに加えて、履行の追完請求及び代金減額請求ができるようになりました。双方に帰責事由がない場合、つまり不可抗力の場合は、損害賠償請求を除いて、売主に帰責事由がなくとも、救済が可能となります。この点、買主にとって有利な改正だと思います。

また、救済の期間は、これまで「知った時から1年以内に請求」とされていましたが、これだと買主の負担が重くなるため、「知った時から1年以内に通知」とされました。これにより、まずは契約不適合の内容を通知し、救済の請求はゆっくり行うことができます。

買主の救済の方法が増えた分、売主の負担は重くなります。この点、契約締結時に、買主の救済措置に関する取り決めがどのようになっているか、十分確認することが必要かと思います。

投稿者プロフィール

小笠原 裕
小笠原 裕中小企業診断士 行政書士
バラの咲く街、八千代市緑が丘で、コンサルティング事務所を運営しています。