民法改正(24) 消費貸借に関する見直し
消費貸借は、現行民法では、実際に金銭が交付されるまでは契約は成立しません。これを要物契約と言います。
そうすると、借主は金銭を交付せよという請求ができません。住宅ローンを利用して不動産を購入する場合などに、貸主の都合で貸し出しができないということになると、借主に大きな損害が発生するおそれがありますが、借主は文句を言えないという問題があるわけです。実際の判例では、損害賠償を認めていますが、その際のルールがあいまいです。
そこで、改正民法では、消費貸借に関して、書面によることを要件として、合意のみで消費貸借の成立を認めることとしました。これを諾成契約と言います。
借主は、金銭の交付を受ける前は、いつでも契約を解除できます。その場合に貸主に損害が発生するときは、貸主は賠償請求できます。ただし、調達に相当のコストがかかるなどの場合に限ります。
このような改正により、借主が、計画的に借り入れができるように、実務的な運用が可能となりました。