民法改正(28) 請負に関する見直し②

請負契約は、現行民法に瑕疵担保責任に関する事項が記載されています。隠れた瑕疵については、売買契約の規程が準用されていて、請負人の無過失責任となっています。さらに注文者の救済策としては、解除や損害賠償または修補が定められています。

しかし、売買契約において、瑕疵担保責任という言葉がなくなり、契約不適合責任として、一般的な債務不履行責任と定められたことから、請負契約においても変更が必要です。

そこで改正民法では、瑕疵担保責任については、売買契約の条文を準用し、目的物が契約の内容に適合しない場合に、請負人が担保責任を負うこととされました。さらに、救済策としても、①修補等の履行の追完、②損害賠償請求、③契約の解除、④代金減額請求ができることとなりました。代金減額請求は、請負契約においては、これまでなかったものです。

また、解除に関しても、現行民法では、土地工作物(建物等)の建築請負では、瑕疵があっても注文者は解除できません。これは注文者にとって非常に不利な条項です。ここも、通常の債務不履行の原則により、注文者が解除できるように変更されました。

さらに、請負人の担保責任の追及には、現行民法では、目的物の引渡し等から1年以内の権利行使を行う必要があります。注文者が契約不適合に気付かずに権利行使の期限が来てしまう危険があり、気づいたとしても権利行使の準備が期限に間に合わない危険がありあす。そこで改正民法では、契約に適合しないことを知ってから1年以内に、その旨の通知が必要とされました。

請負契約は、前回書いた通り、ITシステム開発においても重要な論点です。従来の契約書を見直す必要もありますので、正しい理解が必要と思います。

投稿者プロフィール

小笠原 裕
小笠原 裕中小企業診断士 行政書士
バラの咲く街、八千代市緑が丘で、コンサルティング事務所を運営しています。