民法改正(29) 寄託に関する見直し①

寄託契約については、現行民法では物を引き渡して初めて効力が発生する要物契約となっていました。しかしこれでは、寄託者は、物を受領せよという請求ができないという問題点がありました。また、判例上合意のみによる寄託の成立(諾成契約)も認められ、実務上も利用されています。

そこで、改正民法では、合意のみで寄託の成立を認めました。また、それに伴い下記のルールも明文化しました。

  • 寄託者は、物の交付をする前は、いつでも契約を解除できます。その際、受寄者に損害が発生するときは、受寄者は賠償請求できます。
  •  書面による寄託の場合を除き、無報酬の受寄者は、物の交付を受ける前は、いつでも契約を解除できます。
  •  報酬を得る受寄者と書面による寄託の無報酬の受寄者は、寄託者が物の引渡しの催告を受けても物の引渡しをしないときは、契約を解除できます。

要物契約では、引き渡しがなければ契約の効力が発生しないので上記の点は問題はありませんが、諾成契約の場合は、解除や損害賠償などの問題がおきるので、明確化したというわけです。

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小笠原 裕
小笠原 裕中小企業診断士 行政書士
バラの咲く街、八千代市緑が丘で、コンサルティング事務所を運営しています。