独立開業の経緯(2) 会社に入ったころ

会社(総合商社)に入社したのは1988年ですが、配属されたのは事業部門のシステム部署でした。経済学部出身の私にシステムのスキルはありません。「なんで文系の私がシステム部署なんですか」と上司に聞くと、「理系だと技術のみに走っちゃうから、むしろ文系の方がいいんだ」、という答えでした。「営業に興味があって商社に入ったのに、なんでシステムなのか」と当時は思いましたが、30年経った今では、それが自分にとっては、手に職をつけることにもなり、本当によかったと思っています。

当時のシステムといえば、分散型のシステムではなく、メインフレームという大型コンピュータが主流の時代です。サーバとクライアントをネットワークでつなぐ、という発想はまだ実用化していませんでした。インターネットというものはまだなく、通信網もアナログ回線です。データの転送も、マグネットテープを持ち運びするような時代です。PCもNECの8800や9800が主流で、DOS/Vが世の中に出始めた頃。PCのOSはもちろんMS-DOS。

技術的に見れば、今とは隔世の感がありますが、システムの企画・開発・保守でのポイントは、今と変わりません。結局ユーザの要望を整理して、開発者がわかる言葉に直して伝えるという、コミュニケーションの要となるような仕事は、今も昔も変わりません。システム部署に配属する新人を、技術者ではなく文系にしたというのは、今となっては理解できます。

ただ、当の本人からすると、システム開発の基礎から勉強する必要がありました。必死になって勉強し、自分で操作マニュアルを作成し、ユーザに説明したり、時には障害対応をするなど、いきなり現場対応をしていました。かなり無茶な新人教育ではありましたが、今でもその時代に学んだことが自分の基礎になっていると思います。

投稿者プロフィール

小笠原 裕
小笠原 裕中小企業診断士 行政書士
バラの咲く街、八千代市緑が丘で、コンサルティング事務所を運営しています。