システム開発の経験談(13) 生産管理システム

2002に、中国の製造業に出向しました。そこでは管理・営業は私が副社長として担当しました。会計ソフトは現地の法定の会計ソフトがあるので、それを使用していましたが、生産管理・原価管理はAccessで開発したソフトを使用していました。

このソフトは数年間使用していましたが、レスポンスが極めて遅い、生産計画はExcelで別途管理している、個別採算が作れない、品質管理データと分離している、工場側には端末がなくデータが閲覧できないなど、様々な問題がありました。特にレスポンスが遅いのはAccessの限界で、リプレースが必要な状況となっていました。

私が着任した時、この検討は工場側で進められており、既に業務プロセス図はできていました。私は管理部として案件を担当することとなり、具体的な機能決定やベンダ選定などを行うこととなりました。現行の画面や帳票、業務プロセス図をセットにして、実現したい機能をまとめ、ベンダに提案書の提出を依頼しました。

ベンダも対応が様々で、単にパッケージを売り込みに来るベンダ、要件の理解が悪いベンダと様々でしたが、最後は現行ベンダと新規ベンダに絞り込み、比較表を作成して新規ベンダに決定しました。費用は上がりましたが、サーバを導入し、SQL Serverで構築することとしました。体制としては私がプロマネとなり、各部署からキーユーザを選定し、プロジェクトチームを構成しました。

これは私にとって、初めてプロマネを行うプロジェクトとなりました。問題は私が全く中国語を習ったことがなく、ベンダの責任者も日本語がそれほど達者ではなかったことです。会社には日本語が話せるIT担当者がおりプロジェクトリーダーとなりましたが、プロジェクト途中で転職されるなど、結構いろいろなことが起きました。しかし、半年プロジェクトを行う中で、中国語も専門用語だけは覚えてベンダやユーザ部署との会話も成立するようになりました。仕事をする際の言葉というのは、目的が同じであれば、なんとかなるものだとその時思いました。
私自身もプロマネとしての動き方がよくわからなかったのですが、ベンダ側のプロマネが非常に優秀で、タスク表やスケジュール表も作成してくれたため、プロジェクト全体としてはスムーズに進行したと思います。社内の協力も得られて、予定通り稼働開始することができました。個別採算が作れたり、生産計画と生産指示書が連動し、工場側でもデータの確認・入力ができるようになったことで、生産性向上にかなり貢献したと思います。

要件定義とか、基本設計とか、トレーニングなど、プロジェクトマネジメントの専門用語は当時知らなかったのですが、実体験としてプロマネ実務に携わることができたのは、自分にとっては貴重な経験だったと思っています。

投稿者プロフィール

小笠原 裕
小笠原 裕中小企業診断士 行政書士
バラの咲く街、八千代市緑が丘で、コンサルティング事務所を運営しています。