相続(1) 遺言書① 遺言書の重要性

今日からは、行政書士の仕事である、相続関連の記事を書きます。相続は、一生の間で何回もあることではありません。そして、近親者が亡くなると、悲しみの中で葬儀などやることがたくさんある中で、残された遺産をどうするかが、大きな問題となります。お金に係ることなので、相続人はどうしてもシビアになってしまいます。昨日まで亡き人を偲んで泣いていたのに、今日からはお金に係る生々しい話しとなります。相続を争族というくらい、時には修羅場になることも、少なくありません。

相続について、強調したいのは、遺言書の重要性です。遺産をどう分けるか、あとで述べる遺産分割協議を行う中で、やはり尊重すべきは故人の意向です。個人がこう願っていた、という意思表示があれば、相続人も納得せざるを得ません。この個人の意向を法律的に担保するのが、遺言書です。遺言書があれば、土地家屋の登記もスムーズにできますし、残された遺族も納得ができます。

ところが、実際には、遺言書が無いケースが少なくありません。高齢で遺言書が書けないことも多いでしょう。また、「遺言書を書いておいてください」と、子供が親に頼むのも、死んだ後のことを頼むのも気が引けるとか考えて、頼みづらいものです。そもそも、遺言書を書くという発想自体が、まだまだ浸透していないように思います。

しかし、遺言書は、残される遺族のためにも、きちんと書いておくべきだと思います。相続の仕事をしていると、「遺言書さえあれば、兄弟でもめなくていいのに」、と思うことが、よくあります。例えば、兄弟の誰かが親の面倒を見ていて、他の兄弟が相続分を要求するケースでは、何が正解かという答えはありません。遺言書があれば、「お父さんがこう言い残しているのだから」ということで納得も行くし、相続登記手続きも実に簡単です。遺言書を書いておくのは、残された家族に対する、本人の思いやりだと思う次第です。

遺言書は、要式文書です。難しい決まり事ではありませんが、要式に沿わない遺言書は無効です。正しい知識により、法律の要件を満たした遺言書を残す必要があります。これについては、次回以降で書いていきます。

投稿者プロフィール

小笠原 裕
小笠原 裕中小企業診断士 行政書士
バラの咲く街、八千代市緑が丘で、コンサルティング事務所を運営しています。