相続(5) 検認

自筆証書遺言書は、家庭裁判所の検認を経なければ、相続手続きができないことは、遺言書の項で書きました。検認が必要な遺言書は、実は自筆証書遺言書だけではなく、秘密証書遺言書でも同様です。

家庭裁判所の検認を行うには、家庭裁判所に検認の申し立てを行います。書類での申し立ても可能です。

申し立ての際には、申立書の他、下記の添付書類が必要です。

  • 遺言者の出生時から死亡時までのすべての戸籍(除籍,改製原戸籍)謄本
  • 相続人全員の戸籍謄本

遺産分割協議書により相続登記をする際にも、同様の添付書類が必要となります。遺言書だけでは、誰が相続人なのかがわかりません。相続人は、被相続人の死亡時に初めて確定するものだからです。

裁判所で検認の期日が決定されたら、相続人が家庭裁判所に集まります。判事が相続人の目の前で、「被相続人の筆跡に間違いないですか?」と聞かれます。間違いがないことを確認すると、判事がその旨を検認書に書き入れて、検認手続きは終了です。

検認は、その遺言書が有効であることを保証するものではなく、あくまで遺言書の保全手続きの位置づけです。しかし検認を経なければ、相続手続きができませんので、必ず行うべき手続きとなります。ひと月ほど時間がかかりますので、面倒です。

公正証書遺言書の場合には、この検認手続きが不要となることが、公正証書遺言の大きなメリットになるわけです。

投稿者プロフィール

小笠原 裕
小笠原 裕中小企業診断士 行政書士
バラの咲く街、八千代市緑が丘で、コンサルティング事務所を運営しています。