相続(15) 特別受益者

法定相続分を計算する際の調整事項が、2つあります。特別受益者と、寄与分です。

特別受益者とは、共同相続人の中の一人が、遺贈を受けるか、生前被相続人から「生計の資本」として贈与を受けた者です。受け取った分は、特別受益分として一旦遺産に組み入れて、相続順位に従って持ち分を計算し、そこから組み入れた特別受益分を差し引くのです。これを、持ち戻しと言います。

特別受益分は、相続人に贈与する点では共通でも、生前贈与のケースと遺贈のケースでは、少し計算方法がことなります。生前贈与は、特別受益分を遺産に加算しますが、遺贈のケースでは遺産への加算はしません。遺贈では、遺産の中に特別受益分が既に含まれているからです。

遺留分の計算を行う際も、この特別受益分を考慮します。これにより、遺留分減殺請求の対象となる金額が、大きく変わることがあります。

少し複雑でわかりにくいですが、特別受益の計算には留意する必要があります。

投稿者プロフィール

小笠原 裕
小笠原 裕中小企業診断士 行政書士
バラの咲く街、八千代市緑が丘で、コンサルティング事務所を運営しています。