晩鐘
この数年来、小説は読んだことがありません。ずっと試験問題と過去問ばかり読んできました。今年は司法書士試験を見送ることにしたので、移動時間とかで本が読めます。家内から紹介された小説を読みました。
作者は、サトウハチローの妹の佐藤愛子です。別れた夫「畑中辰彦」が、この作品のテーマですが、小説家を目指し、事業をおこして大失敗し、妻を裏切っておきながら平気で金普請に来る、常識では理解不能な人間です。描きながら、作者自身も自分自身の理解不能な部分を語るのです。
自分なら、こんな行動はしないな、と思いながら、違う人生を感じることができるというのは、小説の楽しさかもしれません。高校の時の国語の先生が、「読書は追体験だ」とか言っていたのを、何十年ぶりかで思い出しました。その先生も、既に他界されています。いろいろな人生があるのだと、思いました。