みずほ銀行のシステム障害報告書

みずほ銀行は、2021年2月以降、短期間に4回のシステム障害を起こしました。この一連の障害の報告書が、6月15日に公開されました。それと同時に、社長以下11名の役員が減給などとなりました。

2月28日に発生したものが最も深刻で、ATMにキャッシュカードや通帳が取り込まれたまま取り出せなくなるような事故が全国で5000件以上発生しました。休日だったため、あちこちのATM前に長蛇の列ができてしまったそうで、ニュースにも大きく取り上げられました。

4回とも全く違う原因の障害です。2月28日はDBの一括更新、3/3はネットワーク系の部品故障、3/7はプログラムリリース時のバグ、3月12日はストレージ故障。おそらく、それぞれの障害に、直接的な関係性はないでしょう。システム部署は、悪夢でも見ているかのような思いだったと推察します。

みずほ銀行が、「システム障害特別調査委員会」を立ち上げて原因を調査した結果が、下記の報告書です。

https://www.mizuhobank.co.jp/release/pdf/20210615_2release_jp.pdf

調査書では、「危機事象に対応する組織力」、「IT システム統制力」、「顧客目線不足」、「企業風土」などに課題があった、と整理されています。

私もIT分野の人間のはしくれですが、この一連の障害での、IT部署及びITベンダのトラブル解決に対するご苦労は、想像を絶するものだったと思います。

ITは巨大化すればするほど、故障が発生しやすくなります。故障は発生するという前提で、具体的な対策をする必要があります。報告書では、故障の原因を組織風土や人的なものに求め、専門性の高いIT担当者を育成・配置する必要がある、というような結論になっているようです。

大切なことは、IT部署の担当者や責任者をリスペクトし、巨大ITシステムの管理の困難さを踏まえた、実行的な対策を行うことだと思います。

投稿者プロフィール

小笠原 裕
小笠原 裕中小企業診断士 行政書士
バラの咲く街、八千代市緑が丘で、コンサルティング事務所を運営しています。