システム監査(9) 基準5 慎重な姿勢と倫理の保持

【システム監査人は、システム監査業務の計画、実施、及び結果の報告において、システム監査の専門家としての慎重な姿勢で臨むとともに、倫理観を保持し、誠実に業務を実施しなければならない。】

慎重な姿勢とは、委任契約における「善良なる管理者の注意義務」と同様の意味です。誤った監査上の誤解に基づく監査上の判断がないよう、十分な注意を払うことを言います。慎重な姿勢を維持するためには、専門的な知識・スキルを常に維持する必要があるでしょうし、合理的な判断を行うために、広範で偏りのない情報の入手も必要でしょう。絶対的に誤りがないとか、突出した成果を求めるものではありません。あくまでシステム監査人が判断するものですが、合理的な注意を払うことが求められているのです。

また、倫理の保持とは、システム監査人の職業倫理の遵守です。職業倫理と、社会道徳上の倫理とは異なります。職業倫理は、受託した仕事に対して、プロとして責任を果たすことであり、自分を律し、成果を出すためにベストを尽くすという、社会生活で求められる倫理より一段高いレベルのものが求められます。

当然ながら、業務上知りえた事項を、他者に漏洩することは許されません。守秘義務を守らない場合は、損害賠償などの社会的なペナルティも発生します。

システム監査人は、これらの責任を認識し、業務に取り組むことが求められます。

投稿者プロフィール

小笠原 裕
小笠原 裕中小企業診断士 行政書士
バラの咲く街、八千代市緑が丘で、コンサルティング事務所を運営しています。