システム監査(8) 基準4 システム監査人としての独立性と客観性の保持

【システム監査人は、監査対象の領域又は活動から、独立かつ客観的な立場で監査が実施されているという外観に十分配慮しなければならない。また、システム監査人は、監査の実施に当たり、客観的な視点から公正な判断を行わなければならない】

内部統制全般に言えることですが、監査人が監査対象組織の所属であると、監査の結果に対して手心が加えられたり、見て見ぬふりをして、大切な指摘が欠けてしまうことがありえます。すべての部署から独立した、内部監査部のような組織があれば望ましいですが、そうでない場合でもシステム監査人は他部門の者が行うことが望ましいです。これが、システム監査人の独立性の確保です。

また、監査を行う場合には、主観や思い込みを排除し、証跡を元に客観的な指摘を行うことが必要です。「この部署は過去こんな問題があった」とか「この部署は問題ないだろう」などの先入観は、監査人においてはとってはならない姿勢です。
内部監査を行うには会社規模が小さかったり、システム監査を行う人材がいない場合も少なくありません。中小企業の場合は、ほとんどが内部監査部門そのものを置く余裕がないと思います。その場合は外部のシステム監査人に依頼して監査を実施してもらうのが望ましいと思います。

内部監査の限界点というものがあります。これは、ある部署で不正が行っていた場合、他の部門がチェックする体制であれば、不正を発見したり、未然に防ぐことも可能です。しかし、絶対権限を持った社長自らが不正を行っている場合、不正を発見・指摘することは困難です。内部通報制度を作るのがそれに対する対策ですが、これは社員の良心に期待するものであって、完全な解決ではありません。

監査対象部署と監査人の独立性を確保するのは、大変なことではありますが、配慮すべきポイントです。

投稿者プロフィール

小笠原 裕
小笠原 裕中小企業診断士 行政書士
バラの咲く街、八千代市緑が丘で、コンサルティング事務所を運営しています。