経済安全保障推進法
岸田政権の目玉政策でもある、経済安全保障促進法が参議院で可決、成立しました。ウクライナ侵攻で国内の安全保障に対する関心も高まる中、与野党の賛成多数で成立したのは、大きな成果だと思います。小林経済安全保障担当大臣をはじめ、関係者の皆様のご尽力に敬意を表します。
供給網の強化、インフラの安全確保、特許の非公開化、先端技術の研究開発など、4つの柱で構成され、企業の自由競争を前提としながら、国民の生活に深い影響のある事項については、国の関与を可能とする法律です。
今回の法案の中に、エネルギーや食糧については、入っていません。しかし、小林経済安全保障担当大臣の説明によれば、国民の命や暮らしを守り抜くためにエネルギーや食料は不可欠であり、経済安保上も重要な課題ですが、エネルギー・食料の安全保障は既にエネ庁、農水省で備蓄を含め一定の対策をとって、知見の蓄積もあるとのことです。さらには、法案とは別に、エネルギーを含む主要産業の脆弱性や強みを把握するための点検作業を、省庁横断で行う枠組みも経済安保担当大臣として既に立ち上げたとのことです。
おそらくは、技術や国内外の環境が日々変動するなか、既存の法制度ではカバーできない部分について、本法で安全を担保したい、というのが本法の位置づけなのだろうと、理解しました。
ただ、80年前に太平洋戦争が勃発した直接のきっかけが米国による石油禁輸であり、まさに経済安全保障問題であったことを考えると、私たちは、今まで以上にエネルギー問題、食料問題には、意識を向けるべきだと思います。
本法は、経済安全保障に対する万能の法律なのではなく、むしろこれをきっかけに、我が国の経済安全保障について、国民としても意識を高める必要があるのではないかと思います。