民法改正(25) 賃貸借に関する見直し①

賃貸借終了時には、いろいろなトラブルが発生しがちです。これらについて現行民法では明確なルールが定められていない部分があります。

その一つが敷金の扱いです。敷金には礼金や保証金などいろいろな名目が含まれているケースが多く、定義があいまいです。

そこで改正民法では、敷金の定義を、賃料債務等を担保する目的で賃借人が賃貸人に交付する金銭で、名目を問わない旨明記されました。名目は何であれ、担保目的であれば敷金に当たると整理したのです。

また、現状回復も、トラブルが発生する一因です。特に、損傷が発生した場合に、どこまでが現状回復の範囲なのか、現行民法上にはルールがありません。

そこで改正民法では、賃借物に損傷が生じた場合には、原則として賃借人は原状回復の義務を負うが、通常損耗(賃借物の通常の使用収益によって生じた損耗)や経年変化についてはその義務を負わないというルールを民法に明記しました。

市民生活に多くみられるトラブルの解決指針となるルールは、民法に明記すべきではないか、という考え方が、改正民法の一つの指針なのです。

投稿者プロフィール

小笠原 裕
小笠原 裕中小企業診断士 行政書士
バラの咲く街、八千代市緑が丘で、コンサルティング事務所を運営しています。