ITプロジェクト24 民法改正と瑕疵担保責任(契約不適合責任)

瑕疵担保責任(契約不履行責任)は、請負契約の場合に留意すべき事項です。

従来の民法では、請負契約における瑕疵担保責任とは、成果物に瑕疵があった場合、修補や損害賠償請求(民法634条)ができ、さらにそれが隠れた瑕疵(民法559条・570条)であった場合には、善意無過失の注文者は契約解除や損害賠償請求ができる(民法559条・民法566条)、というものでした。

これが2020年4月の改正民法では、瑕疵担保という言葉自体がなくなり、「契約不適合責任」となります。瑕疵が隠れているか否かに関わらず、契約不適合(引き渡された目的物が種類、品質又は数量に関して契約の内容に適合しない)の場合は、注文者は追完請求(民法559条・新民法562条)、代金減額請求(民法559条・新民法563条)、損害賠償請求や解除(民法559条・新民法564条)ができるようになります。

これは、注文者にとって有利な改正です。瑕疵が隠れたものかどうか(つまりベンダに過失があるかどうか)を、注文者が証明することは一般的に難しいですが、改正民法では、注文者に過失がない限り、いろいろな手段で不具合の対応を請求できることとなります。

また、請求期間も、従来は修補請求・損害賠償・解除は、目的物の引き渡しから1年(民法637条)でしたが、改正民法では、契約不適合を知ってから1年(民法559条・新民法566条)となっており、最長5年(新民法166条)となります。ベンダが最長5年間も不具合に対応しなければならないということになり、これも注文者にとっては有利な改正です。

ベンダとすれば、この民法改正の条件では相当なコストアップになるはずで、契約書の見直しを要求されることもあり得ます。以上述べた点は任意規定であり、契約書で自由に取り決めが可能です。民法改正の趣旨も踏まえ、きちんと確認すべきと思います。

投稿者プロフィール

小笠原 裕
小笠原 裕中小企業診断士 行政書士
バラの咲く街、八千代市緑が丘で、コンサルティング事務所を運営しています。