システム開発の経験談(8) Lotus 123

表計算ソフトは、現在ではExcelが主流となっていますが、1990年代まではLotus 123が使われていました。データベースは、まず項目の属性定義し、その項目のデータは属性に即したものでなければなりません。文字列定義した項目に数値を入れることはできません。しかし表計算は、各セルに自由にデータを入力することができます。さらに罫線も引けて、パソコン上で作成したイメージ通りに印刷もできます。さらに、項目同士の計算式を設定し、計算手順を設定するマクロと言われる機能もあります。それまで紙の帳票に数値を書き込んで、計算機で計算していた事務作業が、一気に簡略化された、すごいソフトだと思います。

中でも、マクロ機能は、予め登録しておいた操作が順を追って作動するので、パタパタと画面上で計算が進む様子が見ていて面白く、パソコンが自分で仕事をしているような感覚です。今のExcelでは、VBA言語が使われていて、プログラミングの一つの領域となっていますが、今でもExcelマクロという言葉が使われるのは、Lotus123のマクロ機能が原点なのだと思います。

当時はまだEUC(End User Computing)という言葉はありませんでしたが、それまで複雑な計算はメインコンピュータで行うものであったものが、単なるワープロの延長と考えられていたパソコン上で実現できることは、大きな進化だったと思います。

1990年代は、パソコンも部署に一つ設置して共同で使用するものから、一人一台利用するものに変わっていきました。複雑な業務処理が手元でできるようになってきたことと、ネットワークの進化でパソコンの共用がセキュリティ上問題であること、さらにはパソコンの費用が大きく下がってきたことなどが原因なのでしょう。表計算ソフトのLotus 123、文書作成ソフトの一太郎は、一人一台パソコンの2大ツールだったのではないかと思います。

投稿者プロフィール

小笠原 裕
小笠原 裕中小企業診断士 行政書士
バラの咲く街、八千代市緑が丘で、コンサルティング事務所を運営しています。