相続(6) 遺産分割協議書①

相続時に遺言書がない場合は、法定相続分のまま相続手続きを行うか、相続人全員による遺産分割協議書を作成することになります。特に土地・家屋の場合、長男夫婦が住んでいて他の兄弟は別の家に住んでいるなどの場合、不動産を長男が相続し、他の兄弟は金銭を受け取るなど、相続人間で取り決めることが少なくありません。この場合、遺産分割協議書を作成し、相続登記を行うことになります。

遺産分割協議書は、決まった様式はありませんが、標準的には不動産など具体的な遺産内容を記載し、それぞれをどの相続人が相続するかを書きます。重要な点は、相続人が記名捺印を行う必要があることで、捺印は実印でなければなりません。そして相続登記をする際に、印鑑証明書を添付することになります。

遺産分割協議書は、相続人全員で作成しなければ無効となります。例えば、知れている相続人間で遺産分割協議が完了しても、戸籍を調べたら被相続人が認知していた非嫡出子の存在が判明したというような場合、その非嫡出子も参加して遺産分割協議をやりなおさなければなりません。

遺産分割協議書は、同じ内容で2通に分かれていたとしても、問題はありません。例えば、3人の相続人がいて、2人の相続人で作成した遺産分割協議書に対して、別の遺産分割協議書で同内容でもう一人の相続人が同内容で合意するような場合は有効です。しかし後々の紛争を防ぐためには、同一文書での遺産分割協議書の作成をするべきです。

遺産分割協議書に有効期限はありません。添付する印鑑証明書も期限はありませんので、いつでも協議することができます。しかし登記名義人が被相続人のままだと、売買もできませんので、後回しにせずに遺産分割協議を行うことが望ましいと思います。

投稿者プロフィール

小笠原 裕
小笠原 裕中小企業診断士 行政書士
バラの咲く街、八千代市緑が丘で、コンサルティング事務所を運営しています。

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