ITプロジェクト 27 ベンダ選定
ここまで、ベンダ提案書の確認ポイントについて書きましたが、プロジェクトを進めるにあたっては、それらを総合的に判断した上で、ベンダ選定を行うこととなります。
ベンダ選定とは、複数のベンダ候補から、実際にプロジェクトを委託するベンダを決定することです。
最初から1社に絞り込んで提案書を取り付けることもあります。例えば、既存システムを改修する場合は、新規ベンダに依頼すると技術移転(スキルトランスファー、略してスキトラ)にコストがかかるので、既存ベンダ1社に依頼することが多いです。
しかし、新規システム構築、システムリプレースなどの場合、複数ベンダから提案書を取り付けて、比較検討するのが一般的です。よりよいベンダに任せることができるし、選定のプロセスを透明化して、費用やサービスの妥当性を経営者や関係者に説明することもできます。
ベンダ選定には、ベンダ比較表を作成するのが一般的です。機能、非機能、費用、スケジュール、プロジェクト管理、体制、プロマネ能力、プロジェクト実績など、比較項目とその重み付けをした上で、各項目ごとに点数をつけ、集計して総合点で比較します。
もちろん、定量評価だけでは決められませんので、あくまで参考資料ですが、選定にあたって、より客観的な意思決定をすることができます。
ベンダを選定するまでは、注文者が有利ですが、一旦ベンダを決めると、交渉上ベンダが有利になります。言うこと聞いてくれないなら選びませんよ、というカードが切れなくなるからです。従い、ベンダ選定は慎重に行うべきです。