ITプロジェクト37 要件定義フェーズ

キックオフミーティングが行われたら、いよいよプロジェクトの開始です。最初に行うのが、要件定義フェーズです。ユーザが必要な機能を確認し、システム化するかどうかを整理していきます。

要件定義は極めて重要です。要件定義が適切に行われたかどうかが、プロジェクト全体の成否に大きく影響します。

一般的に、ユーザはやりたいことを思いついた順番に言います。それぞれの要件には、実現不能なもの、実現できるがコストが過大にかかるもの、システム以外で実現できるものなどが、入り混じっています。また、必要な機能が抜け落ちていることもあります。従い、一旦すべての要件を吸い上げて、抜けている要件を補足した後、それぞれのコスト・期間を勘案した上で整理し、システム化範囲を選定することが必要となります。

これが非常に難しい作業で、ベンダの要件定義能力や、ユーザの表現能力によって、成果に大きな差がでてきます。ユーザ側で要件を整理する能力が高ければ、ベンダではその通りに作ればよいので、楽になります。その反対に、ユーザで要件を整理できず、それぞれの部署で勝手に要件を言いっぱなしになるような場合、開発後に大変な苦労をすることがあります。システムの失敗の大きな原因が、この要件定義フェーズでの失敗に起因することが、とても多いです。

これらの失敗を防ぐため、プロマネはユーザの業務と、システム面の、両方の理解ができることが必要となります。不足する詳細部分の知識は補うことができますが、基本的なポイントの理解がずれてしまうと、時に致命傷となることがあります。

従い、要件定義の成果はきちんと文書化し、関係者が理解し納得できるよう管理することが要件定義フェーズで重要です。

次回以降、要件定義フェーズで具体的にどのようなことを行うか、記載いたします。

投稿者プロフィール

小笠原 裕
小笠原 裕中小企業診断士 行政書士
バラの咲く街、八千代市緑が丘で、コンサルティング事務所を運営しています。