民法改正(4) 法定利率に関する見直し

法定利率とは、契約で利率を決めていない場合に適用する、民法・商法で定める利率です。債務不履行の場合の遅延金とか、交通事故の損害賠償金などの利息で計算するのに使ったりします。

民法では5%、商法では6%が法定利率です。現在の利率水準からすると、ずいぶん高い水準です。明治時代に法定利率が決められてから、令和の現在に至るまで法定利率が変更されていません。さすがに不都合があるということで、今回の改正で3%に引き下げられます。

さらには、過去5年間の平均値を基準として、3年に1度見直されることになりました。ただし変更幅は1%刻みとなります。また民法上でも商法上でも、法定金利は同じになります。

この法定利率は、中間利息控除の際にも適用されます。中間利息控除とは、事故などの損害賠償を計算する際に、将来の収益を現在値に引き直すさいに適用する割引利率のことです。これが高いと、損害賠償金の金額が大きく割り引かれてしまい、被害者にとって不利になります。

今回の見直しにより、被害者の受け取る損害賠償金は、より適切なものとなることが期待されます。

投稿者プロフィール

小笠原 裕
小笠原 裕中小企業診断士 行政書士
バラの咲く街、八千代市緑が丘で、コンサルティング事務所を運営しています。