民法改正(10) 代理に関する見直し
代理人には、行為能力が不要というのが、現在の民法の規定です。通常は、例えば未成年が高価な物品を売買すると、制限行為能力者として取り消しができます。
しかし本人が未成年を代理人として指定した場合、その代理人の売買は、未成年であることを理由として取り消しすることはできません。取消権は、未成年を保護するためにありますが、代理行為の場合は代理人には法律の効果が及ばないからです。
この場合、本人が未成年の場合に、取り消しができないという問題があります。代理行為の結果、有効に売買が成立してしまうからです。
そこで新民法では、本人が制限行為能力者である場合、制限行為能力者である代理人の法律行為は、取り消すことができます。このような場合の本人を保護するためです。
これに併せて、本人である制限行為能力者が保佐人や補助人である場合、通常は代理権がありませんが、一定の場合は取り消しができるという規定も設けられました。
あまりメジャーな論点ではないかもしれませんが、代理に関する法律はややこしいので、理解しておく必要はあると思います。