システム開発の経験談(12) 部品管理システム(会社支援)

2000年頃、会社の子会社で、部品物流を行う会社が海外にありました。顧客の製品の注文に合わせてジャストインタイムで部品を納入する会社です。製品によって部品の組み合わせは違うし、共通部品・代替部品もあります。手計算では無理なので、システムを構築していました。

ところがこのシステムが、稼働当初から問題を抱えていました。計算の結果が合わないし、部品計算に時間がかかりすぎて夜中に日付が更新されると、日付不一致で処理がすすみません。ユーザ会社はサーバのシステム日付を前日に更新するなど、禁じ手を重ねた結果、バッチ処理が24時間で終了しないなど、大変なことになってしまいました。

私はこの会社にほとんど関与していなかったのですが、営業部の中でIT経験者だということで声がかかり、年末でしたが、対応することになりました。営業部で12月といえば年末挨拶とか結構忙しいのですが、現地の状況をヒアリングを行い、このままシステムを修正するよりも、一旦破棄して再構築した方が早いように思い、新規ベンダ候補会社と一緒に現地に行きました。訪問初日でヒアリングを行い、システム再構築の方針を固めました。新システム稼働期限は3か月後という無茶な条件です。そのまま3日で要件定義を完了させて帰国しました。新ベンダの担当者とは呼吸が合ったので、その後の工程はスムーズでした。当初のシステムは、顧客からも在庫が見れるとか、需給予想計算をするなど機能満載でしたが、必要最低限の機能に徹底的に絞り込んで期限に間に合わせました。

今から考えれば、この時の私の立場は、ユーザ会社ではなく、プロマネです。私は意思決定者ではありませんが、ある程度の権限をクライアントから委任され、ベンダに対して具体的な指示を出します。もちろん最終決定はクライアントが行います。システム開発に問題が発生しないよう、クライアントとベンダをつなぐ第三者の立場でのプロマネの重要性を実感した案件でした。

投稿者プロフィール

小笠原 裕
小笠原 裕中小企業診断士 行政書士
バラの咲く街、八千代市緑が丘で、コンサルティング事務所を運営しています。