システム開発の経験談(18) Microsoft 365

Microsoftは、MS-DOSやWindows、Officeなど、業務用のプラットフォームでは常に先陣を切ってきました。その基本的な戦略はライセンス型のビジネスモデル、つまりライセンスを販売し、シェアを抑え込むということだと思います。MS-DOSも、権利自体をIBMが買い取ろうとしましたが、ビル・ゲイツは権利は渡さずライセンス料に拘りました。その後IBMパソコンが急拡大すると共に、MS-DOSのライセンス料が爆発的に増えて、Microsoft社の急成長につながったわけです。ユーザは製品のバージョンが変わるたびにライセンスを更新する必要があり、その度にMicrosoft社の売り上げが増える、というような仕掛けです。

ところがMicrosoftは、現在のサティア・ナディア会長が陣頭指揮をとり、このモデルを大きく変えました。ライセンス料の売り切りではなく、サービスに対してサービス料をとるという、サブスクリプションモデルに舵を切ったのです。

これにより、ユーザはバージョンアップしても費用が上がらず、却ってサービスがどんどん向上することになりました。初期費用も不要だし、機種依存することもなくなり、PCとモバイル端末の同期も取りやすくなりました。セキュリティも端末依存しないためレベルを向上させたり、バックアップなどの仕組みもサービス化することができます。ユーザ数が減ったら、その分利用料を減らすことができます。機種変更をした時も、特に作業しなくとも、勝手にユーザの環境が移行できます。

この考え方により、Office製品のサービス版として、Microsoft 365が提供されています。これまでのWord, Excel, Powerpoint, OutlookなどといったOffice製品がサービス化され、さらにはOneDriveやSharepointといったストレージ、情報共有機能も提供されます。Power Automate(旧Flow)やPower Apps, Power BI, Formなどといったアプリケーションも提供されています。これまでコーディングに頼っていたシステム開発が、簡単なワークフローならこれらアプリの組み合わせで実現できることとなりました。

Power AppsやPower Automateも、慣れるまでは難しいです。コーディングが難しいのではなく、何と何を組み合わせると機能が実現できるのか、わかりにくいのです。しかし自分で簡単なワークフローを作っているうちに、アプリのクセもわかってきました。なにより、PCでもスマホでも使えるように、画面構成なども考慮されているのが、素晴らしいと思います。まだ世の中に出てから2,3年位ですが、ペーパーレスが進む中で、このようなサービスが拡大するのではないかと思います。

投稿者プロフィール

小笠原 裕
小笠原 裕中小企業診断士 行政書士
バラの咲く街、八千代市緑が丘で、コンサルティング事務所を運営しています。