相続(17) 遺贈

遺贈とは、遺言書で遺産を渡すことです。相続人に対する遺贈もありますし、相続人ではない者への遺贈もあります。

遺贈には、相続分すべてを贈る包括遺贈と、特定の財産のみを贈る特定遺贈があります。

遺贈は、単独行為ですので、相手方が同意しなくても、所有権移転などの法律上の効果が生まれます。そのため、遺贈された遺産を受け取らないためには、遺贈の放棄という手続きが必要となります。特定遺贈の場合は、放棄の意思表示をすればよく、形式は問われません。しかし包括遺贈の場合は、相続放棄と同様に、家庭裁判所に遺贈放棄の申述を行う必要があります。

遺贈は、遺贈者が死亡しなければ、効果が生まれません。同様に、本人の死亡によって効果が生まれる遺産の贈与の方法としては、死因贈与があります。似ていますが、死因贈与は一種の贈与契約である点が、大きくことなります。死因贈与は双務契約ですので、一方的に撤回できませんし、未成年は死因贈与をすることができません。

非相続人への遺贈の場合は、遺留分減殺請求の対象にもなります。遺産の計算に大きな影響がありますので、よく理解することが必要です。

投稿者プロフィール

小笠原 裕
小笠原 裕中小企業診断士 行政書士
バラの咲く街、八千代市緑が丘で、コンサルティング事務所を運営しています。

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