相続(29) 準正
準正とは、非嫡出子を嫡出子とする仕組みです。
前回書いた通り、相続の観点からは、嫡出子と非嫡出子に違いはありませんので、準正はあまり問題になりません。しかし、非嫡出子という身分は、どちらかと言えばネガティブな印象を抱かれやすいですし、子の立場からすれば、相続の問題は別としても、嫡出子として認めてもらいたい、という思いはあるかもしれません。
準正には、認知と婚姻の2つの条件が必要です。認知した後に、子の母と婚姻するか、母と婚姻してから子を認知するか、です。婚姻してから認知すると、認知の時から嫡出子とならというのが、民法の条文ですが、判例上は、婚姻の時に遡って嫡出子となります。
子の母と婚姻し、離婚してから認知しても、準正は成立します。このあたり、かつては相続分に影響あるため、いろいろなパターンで準正に関する判例がありますが、相続分に差がなくなったため、今後は判例も減るかもしれません。
相続手続きの際は、むしろ認知された子があるかないか、を戸籍謄本から抜け漏れなく確認することが大切と思います。