システム開発の経験談(14) 需給管理システム

2006年に、マレーシアの製造業に社長として出向しました。既存の会社を買収したもので、新規法人を設立した上で設備・従業員をそのまま引き継ぐものです。

この会社では、会計・販売・仕入を、IBM製の基幹システムである、AS400で管理していました。AS400は今では少なくなりましたが、基本的な機能が備わっており、今でも使用している企業は多いと思います。

しかし在庫・生産計画・受注予測・仕入計画などが連動しておらず、何をいつどれくらい作るのか、そのために材料をいつどれくらい購入しなければならないのか、全て手作業であり、計画作成に問題がありました。

例えば、ある日生産会議に出席すると、販売中止の予定の品目を工場側で大ロットで作ろうとしているので、なぜかと聞くと、その品目は原価を下げるために大ロットで作ることが決められているからだ、という説明です。そのまま作ったのでは、明らかに不活性在庫化します。販売計画・生産計画・購買計画を一元管理しないと、会社の業績を上げることができません。

そこで需給管理システムを計画しましたが、この会社にはIT担当者がおらず、赤字の会社を買収したので費用がかけられません。

結局、基幹システムとの連動は行わず、手元管理ができるシステムをAccessで自前で製造することにしました。基幹システムに入力する情報は手入力する必要があり二重入力となりますし、工場側で閲覧することはできませんが、計算結果をExcelで展開すれば、なんとかなりそうです。黒字化したらベンダに委託してサーバ上で再構築し、工場でも閲覧できるようにすることとし、Accessでの開発はあくまでプロトタイプの位置づけです。

開発は私が自分で行いました。Accessでのフル開発は初めての経験でしたが、プログラミング言語というのは、多少の違いはあってもどれも同じようなものです。日本に帰国した時に参考書を買いあさり、勉強しながら3か月位で作りました。

結局会社が黒字化することはなく、以前書いたような理由から会社は清算となりました。

独立開業の経緯(7) 関係会社(マレーシア)の清算

結局このシステムは本番開発することもなくプロトタイプで終わってしまいましたが、会社清算時点で製品・材料とも不要在庫をほぼゼロに抑えることができたのは、このシステムのお蔭であったと思っています。

投稿者プロフィール

小笠原 裕
小笠原 裕中小企業診断士 行政書士
バラの咲く街、八千代市緑が丘で、コンサルティング事務所を運営しています。